菜の花の沖

2015-03-04 08.11.24

 

たぶん、武士の世界の物語ではなくて商売の世界で成功を収めた男の物語なのだろう、商才についての物語というものは他人にはほとんど何の役にも立たない。

そう思い込んでいたので今まで読まずにいましたが、それは勘違いでした。

子供時代を過ごした淡路島での話を詳細に描き、兵庫における商人の考え方や動き方を詳しく説明し、江戸時代の身分制度がどれほど厳格でややこしいものか、あるいは松前藩や幕府の事情を語ったあとでさらには同時代のロシアの動きをそれ以上に語り尽くし、この物語は一体どこへ向かっているのだろうとこちらが心配になりかけた頃、突然にクライマックスはやってきます。

主人公は制度上の武士ではないのですがこのときに果たした役割はそれ以上のものであるし、その実力を認めていた幕臣がいたという点にも感嘆。

詳細な文章からは明治維新まであと数十年というこの時代の日本を感じることができるとは言うものの、もしかすると第6巻を記述するためだけに(?)第1巻から第5巻までその背景を詳細に書き著したのかもしれない著者にも敬意を。

 

 

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