LIBERTYに搭載されている
SEGL社製リチウムイオンBatteryについて
リチウムイオンバッテリーに関するお問い合わせが増えてきましたので
安全性に関する弊社の取り組みを紹介させていただきます。
1 バッテリーについて
1−1 三元系リチウムバッテリーを採用する理由
LIBERTYの開発をスタートさせた当時、車室内環境の快適化を求める需要が高まり、
家庭用エアコンの搭載およびこれを駆動させるための大容量バッテリーの搭載が求められていました。
その一方で、タイヤのバーストによる転倒事故がたびたび報じられ、
従来の鉛バッテリーを多数搭載するとその重量増加によりタイヤがバーストするリスクがさらに高まるものと危惧されました。
この課題を解決するために選ばれたのが三元系リチウムイオンバッテリーでした。
エアコンを駆動させるのに必要な大電流を流し続ける場面において
同程度の性能を持つ鉛バッテリーとの比較においては約55kgの軽量化を実現し、
バーストのリスク低減とエアコン駆動時間の長時間化を両立させています。
1−2 SEGLリチウムイオンバッテリーの構造
48本の円筒形セルが並列に組み合わされて一つのモジュールを構成し、
3台のモジュールが直列に接続されて一つのバッテリーパックとなっています。
バッテリー内部にはモジュールのほかにバッテリーを管理するBMS(Battery Management System)が搭載されています。
1−3 BMSによる安全対策
過放電保護:セル電圧の設定下限になると出力を停止しセルを保護します。
過充電保護:満充電になると充電受け入れを停止しセルを保護します。
過電流保護:過電流を検知すると停止しセルを保護します。
短絡保護:出力がショートすると停止しセルを保護します。
過温度保護:温度が設定値を超えると動作を停止しセルを保護します。
1−4 セル自体の安全性
セルは韓国の大手電機メーカーLG社の21700タイプが採用されており各種安全基準に適合しています。
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PSE:電気用品安全法(※1)
IEC 62133-2:2017:International Electrotechnical Commission の定めるリチウムバッテリー安全基準
UN38.3:リチウムイオン電池国連勧告輸送試験
2 周辺機器について
2−1 走行充電器
VICTRON社(オランダ)の走行充電器を搭載しています。
低電圧時の急速充電を避けるためバッテリー電圧が9.9V以下の時は充電電流を12Aに制限する設定を行っています。
満充電電圧設定はバッテリーの許容値12.6Vに対して12.5Vとしています。
2−2 外部電源充電器
SEGL社指定の充電器を搭載しています。
低電圧時の急速充電を避けるためバッテリー電圧が9.9V以下の時は25A、8.7V以下の時は12.5Aに制限しています。
オーナー様によっては外部電源を差し込んだまま長期間使用される可能性がありますので、
満充電電圧はやや低めの12.3Vとしています。
2−3 インバーター
SEGL社指定のインバーターを搭載しています。
バッテリーを極端な低電圧状態にさせないため、9.5Vで出力を自動停止させています。
自動停止後の再稼働電圧は11.0Vです。
2−4 レギュレーター
SEGL社指定のレギュレーターを搭載しています。
バッテリーを極端な低電圧状態にさせないため、9.0Vで出力を自動停止させています。
2−5 配線
自動車用AV規格品を使用。
インバーターとバッテリー間には大電流にも使用可能なAV38SQ(許容電流190Aの極太電線)を用いています。
2−6 ヒューズ
バッテリーからの出力系統すべてにそれぞれの回路に適切なヒューズ(インバーター回路は175A)を装着し、
万一のショートや過電流からバッテリーを保護しています。
3 その他
3−1 バッテリーおよび周辺機器の接続
リチウムイオンバッテリーは2022年受注車まで単体での搭載でしたが2023年以降受注のLIBERTYについては並列搭載するため、
バッテリー間バランスを考慮し、接続する配線の径、長さ、接続端子位置についてSEGL社のアドバイスをいただき施工しています。
3−2 低電圧時における大電流同時充放電の回避
低電圧時の充電電流を0.1C程度以下に設定してあるため、低電圧時における大電流同時充放電は起こりえないのですが、
さらに外部電源口を2つ設置することで充電系と放電系を明確に分けています。
3−3 換気ファン
セカンドシート内の温度が設定以上になると自動的に換気ファンが作動しバッテリー周辺の空気を室内と循環させています。
4 今後
残念ながらまだ発表できる段階には無いためこちらでの公表はできませんが、
今後さらに安全性を高めるため複数のプランを検討中です。
※1:PSEの対象となるリチウム電池
電気用品法施行令別表第二では、リチウム電池を以下の通りに定義しています。
“「一二 リチウムイオン蓄電池(単電池一個当たりの体積エネルギー密度が四〇〇ワット時毎リットル以上のものに限り、
自動車用、原動機付自転車用、医療用機械器具用及び産業用機械器具用のものを除く。)”
そのため、ルールの上では自動車用リチウムイオンバッテリーはPSE対象外です。
2023年3月17日
株式会社アネックス